今回は虹のように見える光のお話だけど、雨の後に見える普通の虹とは違うものなの。
実はそれほど珍しい現象ではないから、日本でも見えることがけっこうあるんだけど・・・
「どんな状態のときに」「どの位置に見えるか」をきちんと知っていないと、見逃してしまうかもね。


今回も角度は弧度法(ラジアン)ではなく「度」を使うね。
参考にしたページ: Atmospheric Optics(http://www.atoptics.co.uk/)
 
 
Problem.5
微小な氷の板が上空に多数存在するとき、それによって屈折した太陽の光はどのように見えるか。
上空には風は無く、氷の板は地面と水平に配列しているものとする。また氷の屈折率を 1.309 とする。
 
 
順番に考えていきましょう。まず、氷の上から入った光が下から出ていく場合ね。
錯角が等しいので、図の●の角度は等しい。
したがって屈折の法則から、図の○の角度は等しい。
→氷の板に入る光と出る光は平行になる。
むー、これだと光の進路がほんのちょっとずれるだけで、角度は同じになりますね。
つまりこの場合は、特に太陽と別の場所に何かが見える、というのは無いということだね。
(そういう光がどれだけあるかは別として)氷の横から入って横から出る光も、これと全く同じ感じになるから 今は考える必要は無いね。
えっと、じゃあ・・・「上から入って横から出る」光は・・・
このようにずれる事になるね。
今、その「ずれて出てきた光」は、(錯角が等しいことから) 図のように、地面から見上げる角度がγの位置から来るように見えるのよ。
つまり、見上げる角度がφの位置に太陽が見えて、それとは別に角度がγの位置にも光が見えることになるわ。
ただし、光が氷から出る時には、角度によっては全反射して出てこないことがあるわ。その時は当然、この 像は見えないことになるね。
ではこの式をもとに excel でグラフを・・・
屈折率 n は、問題文にあった値を使えばいいね。
それから excel は弧度法での計算になるから、必要に応じて「180/PI( )」やその逆数をかけるようにしてね。
こうして現れる光は、必ず太陽より上に見えるの(さっきの光の曲がり方の図から分かるね)。
これを「環天頂アーク」と言うのよ。
グラフは横軸が太陽の高度、つまりさっきのφだね。これが32度のあたりで切れているのは、これより太陽が高くなると
全反射の条件を満たしてしまって光が出てこなくなるからなの。
で、2本のグラフのうち、上にあるほうはこの光が見える高度。さっきのγだね。
下の線は、太陽の高度とアークの見える高度がどれだけ違うかを表しているのよ。
このグラフだと、一番低く見えるときでも58度くらいの所に出現することになりますね。
そうだね。だから「天頂」アークというんだけど、これだけ高い所に出るということは
上を見ていないと、出ていても気づかないということ。
太陽が22度くらいの高さにある時は、アークはそれより46度くらい上に出るんだけど、
太陽がそれより高くても低くても、アークの(太陽との相対的な)出現位置はもっと高くなることになるね。
ふ〜ん・・・たまには空を眺めてみるのもいいかな?
ところで、さっきの屈折の様子だけど、これがプリズムと同じ感じになっているのに気付いたかな?
これは一般的な三角プリズムの模式図だけど、氷の板による屈折はちょうど、このプリズムの頂角が 90度になったものと考えればいいわ。
出てくる光のスペクトルの並び方を考えると、環天頂アークは 太陽に近い側(下側)が赤、遠い側(天頂側)が紫の虹のように見えることになるね。
(色の並び順については、虹について説明した時にも同じような話をしたからそちらも見てね。)
そしてこれまでの考え方から、天頂を基準にするとアークは太陽と同じ方向に出る ということも分かるかな?
普通の虹は光の反射によってできるものだから、太陽とは反対側に見えるんだけど、これが決定的な違いのひとつだね。
じゃあ太陽がわりと低い位置にある時に、その真上を探せばいいんですね。
そうだね。でももちろん、太陽を直接肉眼で見ちゃダメだよ。
光が氷の横から入って下から出てくる場合も、ほぼ同じように考えられるね。
ただしこの場合、地上から見上げたアークの高度はγではなくて、(90度−γ)になるわ。
では、さっきと同じようにグラフを・・・
こんどは、必ず太陽の下に現れることになるね。これを「環水平アーク」と言うのよ。
グラフはさっきと同じで、横軸が太陽の高度(図のφ)で、2本のグラフのうち下のほうがアークの見える高度。
さっきの図でいう「90度−γ」の部分だね。
横軸の数字が途中で切れているのもさっきと同じ。この範囲の外では光が氷の中で全反射して、出てこないからなの。
ふむふむ。太陽が58度くらいより高くないと出ないということは、冬なんかは見えないですね。
そうだね。そういう意味では一年中見える(可能性がある)環天頂アークよりも珍しいと言えるかな?
でももし現れたときは、太陽よりも地面に近い側に見えるから見つけやすいよ。
ちなみに環水平アークも、太陽に近い側(上)が赤、遠い側(下)が紫という並びになるの。
さっきの図を見て考えてみてね。
これが実際の環水平アークの写真。右側はレタッチソフトでコントラストを上げたものね。
名前のとおり、ほぼ水平に広がる虹のような色の帯が写っているのが分かるかな?
ちなみに撮影したのは6月で、さっきの「太陽が高い時期」という条件にも合っているね。
太陽が出てて、その高さにも制限があるし、上空に氷の板があって風が無い時かぁ・・・
厚い雲があっても見えなくなっちゃいそうだし、かなり条件が厳しそうですね。
そうだね。でも、日本でも年に何十回かは見られる、と言えば、決してまれな現象ではないと分かるよね。
(とは言ってももちろん、いつでもどこでも見られるようなものではないけどね。)
最初にも言ったけど、見える・見えないよりも気づく・気づかないが重要なんじゃないかな。
普通の虹と比べると、色がすごくはっきり分かれて見えるから分かりやすいんだけど、特に環天頂アークなんかは
出る場所が場所だけに、偶然見つけるというのは難しいわ。
でも今回やったように、どんな時にどこに現れるかが分かっていれば見つけやすくなるのよ。
・・・またそうやって、「だからみんなも普段から、科学を勉強しといたほうがいいよ(はぁと)」
みたいな方向に持っていこうとしてますね?
ま、まあそんな感じかな。
それじゃあ今回はここまでで〜す。
お疲れ様でした〜。
 
 
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