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前回は、Legendre 多項式に関する Rodrigues の公式を証明するところまでやったね。 今回はこれを使って、Legendre 多項式のもうちょっと詳しい&重要な性質を見ていくことにしましょう。 現役大学生の人は、演習の時間なんかで実際にこういう問題が出ることもあるかも知れないけど、 最初から答えを見ちゃダメだよ。一度自分で考えて、それから答え合わせをする感じで読んでね。 |
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にゅにゅ〜、(4) だけなんだか別次元の問題のような気がしますけど・・・ |
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それはやってみてのお楽しみだね。 とりあえず、前回せっかく Rodrigues の公式をやったんだから、それを使ってみましょう。 |
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Rodrigues の公式では、前に というものがついているけど、
これは規格化定数といってまあ、最終的にいい具合の式になるようにするためのもの(ものすごい言い方ね・・・)だから、とりあえずは 放っておくことにしましょう。問題にあるように、答えがいつでもゼロになるのならこの部分は 問題の本質には関係ないはずだしね。 |
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えっと、積分の中に微分が出てきたら、やっぱりとりあえずは部分積分ですね。 でも、そのたびに項が増えちゃったら収集がつかなくなりそうですけど・・・ |
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ところが心配ご無用。 さっきと同じように、「定数倍」は問題の本質とは関係ないからとりあえず a0、a1、a2、・・・とおいちゃいましょう。 問題は x を含む部分で、k < n だから必ず全ての項に ( x + 1 )( x - 1 ) が入ってくることになるのね。 もちろん、n - 1 も n より小さいから、その場合もこの関係を使っていいことになるわ。 となると、x = ±1 のときゼロになる、つまり さっきの式の [ ] の中は「 0 - 0 」になって、当然その値はゼロになるのね。 |
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おぉ〜。 |
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そうと分かれば調子に乗って(?)、どんどん部分積分を繰り返していっちゃいましょう。 |
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こうなればもうこっちのものね。 さっきと同じ理屈で [ ] の中はゼロになって消えるから、後ろの積分だけを考えればいいのよ。 しかもこのまま部分積分を繰り返せば・・・ |
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[ ] の中は同じ形で、微分の回数だけがどんどん減っていくから・・・どこまで行っても 0 ですね。 |
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で、最終的にはこれまた k < n であることを使って・・・「 x の k 乗を n 回微分したもの」はもちろん 0 だね。 だから最後に残った積分の部分も、ゼロになって全部消えるのね。 |
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おぉ〜、なんか感動的ですっ。 |
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じゃあ次の ( 4 ) ・・・これは普通に受験数学というか、高校レベルの問題だね。 |
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これは特に難しいところはないから、一気にいっちゃいましょう。 ところどころ細かい計算は省略してるけど、まあ大丈夫・・・だよね? この答えの中の「 !! 」は二重階乗といって、普通の階乗は 1 ずつ減るけどこれは 2 ずつ減ると考えればいいわ。 たとえば、7 !! = 7 * 5 * 3 * 1 = 105、8 !! = 8 * 6 * 4 * 2 = 384 といった感じだね。 |
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ふむふむ・・・ |
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ではいよいよ、最後の ( 5 ) に行きましょう。m は n と同じで、0 以上の整数で考えるのよ。 |
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まず、最初の定義の式、あるいは Rodrigues の公式を見ても分かるけど、Legendre 多項式はその名のとおり、単なる x の多項式になるのね。だから Legendre 多項式どうしの積を考える場合、行列のようにかける順番によって結果が 変わったりする事は無いわ。この「一般性を失わず〜」というのは頻繁に登場する言い回しだけど、要するに 「その場合だけ考えれば、他のあらゆる状況を考えたのと同じ」という事ね。 m ≠ n の場合というのは、当然 m < n の時と m > n の時があるんだけど、さっき言ったとおり、かける順番に 関係なく結果は同じになるから、そのどちらか一方だけ考えればいいのよ。 |
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で、ここでもう一度「 Legendre 多項式は単なる x の多項式」という事実を使うんだけど、 今の式の中にふたつあるうちの片方だけ、それも次数の低いほうの式をこれで 書きかえるというのがポイントだね。 最初の定義からも明らかだけど、この表式の中の係数 a にはもちろん、0 になるものもある(と言うか、 ひとつおきに 0 が現れてくる)のね。でも実は、そんなの関係なく積分が全部ゼロになって消えてしまうのよ。 |
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へ〜、これはなかなか面白いですね。じゃあ m = n のときは・・・ |
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これもやっぱり、とりあえずは部分積分だね。すると、「 」を「 n より少ない回数だけ微分する」というものが第一項の中に出てくるね。これはまさに、( 3 ) に出てきたのと同じ形になっていて、 x = ±1 のときにゼロになる、つまりこの部分積分の第一項が消えてなくなる事を意味しているのよ。 |
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じゃあ、さっきみたいに部分積分をどんどん繰り返していけちゃいますね。 |
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こうして部分積分を繰り返していくと、最後には片方のかっこに微分をすべて押しつけてしまうことができるね。 ところで、 は x の 2n 次の式で、それを 2n 回微分しようというんだから
これはもちろん最高次の x^2n 以外の項は全部消えて 0 になるし、残る部分も x は消えてただの ( 2n ) ! だけが残ることになるね。 |
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なんだか普通っぽい(?)式になってすっきりしましたね。あとはこれを解ければ・・・ |
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これは普通に変数変換するだけで問題なく解けるね。 問題はこの最終的な結果の式。このままだと分かりにくいけど、約分できるところがあるのが分かるかな? |
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うーん・・・? |
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まず、分子の ( 2n ) ! を考えましょう。 ( 2n ) ! = 2n( 2n - 1 )( 2n - 2 )( 2n - 3 )・・・3・2・1 だね。 順番を並べ替えると、= 2n( 2n - 2 )( 2n - 4 )・・・6・4・2・( 2n - 1 )( 2n - 3 )・・・5・3・1 となるね。 このうしろの部分は、( 2n - 1 ) から始めて 2 ずつ小さな数をどんどんかけてるんだから、( 2n - 1 ) !! になるし 前半の部分は ( 2n ) !! になっているね。つまり ( 2n ) ! = ( 2n ) !! ・( 2n - 1 ) !! 。 |
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とするとえっと・・・ 分母の ( 2n + 1 ) !! は、= ( 2n + 1 )( 2n - 1 )( 2n - 3 )・・・5・3・1 だから、( 2n + 1 )・( 2n - 1 ) !! ですね。 ( 2n - 1 ) !! が約分できるけど、最初からいる はまだ残ってますね。分子も ( 2n ) !! がふたつになっちゃったし・・・ |
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ところが、今 ( 2n ) !! = 2n( 2n - 2 )( 2n - 4 )・・・6・4・2 = 2n・2( n - 1 )・2( n - 2 )・・・2・3・2・2・2・1 = 2^n ・ n ! となるね。つまり、これはまるまる約分ができて結局・・・ |
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おおっ?ジャマなのがほとんど消えて、答えは 2 / ( 2n + 1 ) ですっ。 |
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OK、それで合ってるね。 以上をまとめると、次のような答えになるわ。 |
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この記号は Kronecker(クロネッカー)のデルタといって、添え字が同じなら 1 、違う時は 0 という意味なの。 今の場合は m = n ならこのデルタは 1 になって全体の答えは 2 / ( 2n + 1 ) になるし、m ≠ n なら n の値に関係なく、デルタが 0 になるから答えは 0 というわけだね。 |
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ふむふむ・・・ ところでこれ、数学な内容なのは分かりますけど、物理も関係あるんですか? |
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詳しく書くと長くなるけど・・・量子力学の基本となるのが Schrödinger(シュレディンガー) 方程式だというのは知っているかな? |
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えっと、名前ぐらいなら・・・ |
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水素原子がどのように振る舞うかを調べるために Schrödinger 方程式を解くと、その解の中に球面調和関数 というものが出てくるの。この球面調和関数は Legendre の陪関数(ばいかんすう)というものを使って書くことが できるんだけど、その Legendre の陪関数は Legendre 多項式を用いて書くことができるのね。 つまり・・・量子力学をやるのならこういう「道具」をきちんと使えないと歯が立たない、って事だね。 (注:水素原子の波動関数には Laguerre(ラゲール)の陪多項式というものも出てくるけど、これも まあ、仲間みたいなものだね。ちなみに Legendre も Laguerre もフランス人。フランス人多いね。) |
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へぇ〜・・・ |
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しかも、電子1個と陽子1個だけからできている、最も単純な構造の水素原子ですらすでにこんな感じなんだから もっと本格的な事をやろうとしたら・・・だいたい想像はつくよね。 ま、今回はとりあえず、この結果を求めることが目的だったからここで終わり。 それでは、お疲れ様〜。 |